トレンドカラー情報は様々なところから発信されていますが、トレンド発信のもととなるのはパリコレなど世界のコレクション情報です。
日本のトレンドカラーはコレクション情報を日本流にアレンジしたもので、アパレル業界はその情報をもとに製品を開発、販売しています。そのためコレクションで目玉となる色と実際に店舗で並ぶ色は若干違いがあります。
当記事では筆者が百貨店ブランドや街のショップの色を調査し、より「今」の日本のトレンドを反映したカラーをご紹介していきましょう。
2023年-2024年秋冬のトレンドカラーラインナップ
2010年代後半は、季節問わずくすみカラーが主流でした。コロナ規制が緩和されはじめてからは「きれい色」といわれる様なくすみのない澄んだカラーがトレンドに入ってきました。
今季は澄んだ色の中でもパステル調が多く、ブルー、ピンク、パープル、グリーンが多数見られます。そして差し色として鮮やかなブルーやピンク、パープルがちらほらと並んでいる印象です。鮮やかな色もくすみのないはっきりした色です。
ベーシックカラーは、グレー、ベージュ、ホワイト、ブラック。グレーは大手のトレンド情報にも2023-24年秋冬のトレンドカラーとして挙げられています。ブラウンもトレンドとして挙げられていましたが店舗には少なく、ブラウンに代わってベージュがベーシックの不動カラーとして定着しています。
時代は軽やかさを求めている
ブラックを除きダークカラーは本当に少なく、鮮やかなビビッドカラーが秋冬らしい濃い色の役割を果たしています。
実は今年の春夏もパステルカラーがトレンドでした。
2020年から約3年、閉塞した社会で私たちは過ごしてきました。2023年11月現在も、世界では戦乱が起こり、身近なところでは物価の高騰の影響を受けています。明るく上向きの日本とは言えない状況ですが、人の移動も活発になり、人々の気持ちは前向きになっているのかもしれません。
AIの進化などくるくると変化する時代に、重いイメージのカラーよりは軽やかに時代の波に乗れるような明るさが社会風潮的にフィットしているようです。
ただ、パステルカラーからは強い意志や活気のあるエネルギーは感じられません。人々の過剰すぎる周囲への同調や意志を持たない事なかれ主義の反映でないことを祈るばかりです。
今年らしい個性を出すならビビッドカラー
パステルカラーが主流の中で、ちらちらと差し色で用意されているビビッドカラー。特に今季ならではの色が、オレンジと黄緑。意識して探してみると、きっといくつかのショップで出会えるはずです。
一見すると春を思わせるカラー。オレンジは柿色のような深いオレンジなら秋冬らしい色ですが、柿色よりはビビッドなオレンジです。黄緑は希望や成長を表す色で、パステルカラーの明るい色と同じような感覚で受け入れられているのかもしれません。しかし洋服では珍しい色です。ビビッドなオレンジと黄緑は、来年の秋冬には見かけない色かもしれませんね。
価格帯によって頻出度の変わる黒
ブラックはベーシックカラーですので、流行を問わず必ず秋冬に用意されている色です。今季の黒の傾向としては、プチプラとよばれる低価格帯からボトムスで20,000円前後の価格帯のショップではあまり多く見られませんでした。低~中価格帯ではブラックよりもグレーのバリエーションが豊富です。
それに対し、高価格帯のブランドやミセスブランドになるとブラックの分量が多くなります。店舗をぱっと見た感じでは、ブラックとベージュがメインに見えるくらいです。
ブラックは定番カラーでどんな色とも合わせやすいし無難と言われがちですが、高級感を表す色でもあります。価格帯に比例してブラックの頻出度が変化するのは興味深いものでした。
まとめ
出展元 オーケー化成株式会社「
2023-2024年秋冬トレンドの全体の雰囲気をつかむなら上記画像のようなラインナップです。店舗では濁りのあるカラーはベージュとグレー程度で、トレンドは「澄んだ色」だと言い切ってもよさそうです。
パステルブルーとグレー、パステルピンクとグレーの陳列を見ていると、「大人きれいめ」という言葉が思い浮かびました。ビビッドカラーも並んでいるとはいえ、上品で落ち着いたトーンが全体の印象です。
パーソナルカラーでいうとブルーベースの色が多く、パーソナルカラーのサマーやウィンタータイプの人が購入しやすい時でしょう。ダークカラーの洋服が増えがちな秋冬に、ライトなカラーを揃えておきたかったら今季はねらい目ですよ。
※まとめで使用した画像は、プラスチック用着色剤・機能剤メーカーのオーケー化成株式会社様のサイトからお借りしています。
プラスチック用の色提案ではありますが、日本流行色協会(JAFCA)様が発信する流行色を大変わかりやすくまとめてあります。
ファッション業界の色とも差がなく、全体のトレンドイメージをつかんでいただきやすいので、ご承諾を得てこちらを掲載させていただいています。