Webデザイナーやこれからホームページを作ろうと考えている人に向けてホームページ配色のヒントをシリーズでお届けしています。
今回は「耳鼻咽喉科」に絞って、現在あるサイトの色分析から最適な配色の提案をしていきます。
全国の耳鼻咽喉科のホームページ使用色ランキング
47都道府県の耳鼻咽喉科を無作為にピックアップしホームページカラーを集計しました。
大病院はのぞいた個人医院・クリニックのホームページのみの結果です。
(サイトを開いて一番目についた色(主に背景色)をホームページカラーと判断しています。)
1位 ブルー
2位 グリーン
3位 黄色
3位 水色
3位 オレンジ
5位 黄緑
7位 茶色
(2024年4月現在)
医療系のサイトといえば青と緑が不動カラー。ここでいう青は、青空のような爽やかな青が主流で、水色やネイビーとは分けて集計しています。
青・水色・ネイビーすべてを合計すると全体の36%にものぼり、緑・黄緑を合わせると22%です。青系、緑系だけで全体の60%近くを占めています。
上位カラーの色の意味
青は好まれる色ナンバー1といわれていて、色彩心理では「信用・誠実・鎮静」の意味を表します。緑は「安心・落ち着き・癒し」を表します。
水色やネイビーも青と多少色の意味が異なるものの、だいたいは共通のイメージを持っています。健康状態に不安を抱える人にとって、安心して頼れる存在というアピールができるのが青系・緑系の特徴です。
他の医療系サイトではあまり目立たず、耳鼻咽喉科で上位にきたのが黄色です。黄色は「明るさ・楽しさ・前向き・陽気」なイメージを与える色です。また「こども」をイメージする色で、幼い子が好む色でもあります。
耳鼻咽喉科は小さな子から高齢の方まで対象年齢は幅広く、こども・ファミリー層をターゲットにしている医院では、黄色を使って楽しいイメージを作り、恐怖心を与えないサイト作りがなされているのではないかと考えられます。
黄色をメインカラーにした配色例
当記事では黄色をメインカラーとして、虹色を円環に並べた色相環をもとにした配色と、色の共通イメージをグループ化したトーンをもとにした配色から配色例を挙げていきます。メインカラーが変わっても、色相とトーンを基準にした配色法の考え方は同じです。
同系色相配色
同系色相配色とは同じ色の濃淡配色のことです。たとえば青と水色(またはネイビー)、緑とカーキ(オリーブグリーン)がそれに当たります。
黄色の場合、クリームイエロー(パステルカラーの黄色)と鮮やかな黄色は濃淡配色になりますが、どちらも非常に明るい色のためWEB上で見た場合濃淡がわかりにくく、まぶしさを感じる可能性があります。
そこで黄色を暗くした黄みの茶色を合わせることで明暗のコントラストがつき、サイトの見やすさ・分かりやすさが生まれます。
同系色相でまとめると配色に統一感が生まれ、センス良く見える効果があります。
類似色相配色
色相環をもとに考えると、隣にある色との組み合わせが類似色相配色になります※。たとえば黄色と黄緑、黄色と緑、黄色とオレンジなどが考えられます。
色みに少し変化はあるもののメインカラーのイメージを大きく損なわず、適度に動きやメリハリのある配色ができます。
※色彩学で厳密にいうと、色相の隣どうしの配色は隣接色相配色といいます
同一トーン配色
明るい色どうし、暗い色どうし、鮮やかな色どうしといった、色のイメージが共通している配色を同一トーン配色とよびます。下図のような色をグループ分けしたトーン図をもとに配色を考えると色選びは簡単です。
黄色と組み合わせるなら、パステル系の淡い色やうすい色、明るめのブライトカラーと相性がいいでしょう。
トーンを揃えれば、色みは何色でも統一感が生まれます。
上のサンプル画像は、ltトーン(ライトトーン)という明るくかわいいトーンから、黄色・オレンジ・赤の色相を選んでいます。
耳鼻咽喉科のホームページで差別化は必要か
耳鼻咽喉科の全体の印象として、明るく親しみやすい色のホームページが9割以上です。青・緑・オレンジ以外のビビッドカラー、無彩色(白・黒・グレー)のホームページはほぼありませんでした。
ビビッドカラーはインパクトが強く訴求力はあるものの、色によっては興奮や緊張感を与えてしまいます。無彩色はとてもクールでスタイリッシュな色のため、気軽に通院できるイメージが出せません。
もしもこうした色をサイトに使うなら、明確にアピールできる何か、いわゆる差別化のポイントを打ち出さないと色のみが目立ってしまい、イメージアップにならないでしょう。
対象年齢が広い耳鼻咽喉科では多くの人に良いイメージをもってもらうため、特殊な色使いで差別化を図るより、誰もが好みやすい配色にした方が良さそうです。
まとめ
青系・緑系・黄色が主流の耳鼻咽喉科のホームページ。だからといって「安心と信頼、親しみやすさ」を必ず発信しないといけないわけではありません。ターゲットや訴求内容によっては、ビビッドカラーや無彩色が使える可能性もあるのです。
医院に訪れる人、ホームページを見る人に合わせて何色をメインカラーにもってくるのか。サイトカラーを決める前に医院のコンセプトや院長の想いを言語化し、その言葉にあった色を選定することが大切です。
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