Webデザイナーやこれからホームページを作ろうと考えている人に向けてホームページ配色のヒントをシリーズでお届けしています。
今回は「歯医者」に絞って、現在あるサイトの色分析から最適な配色の提案をしていきます。
全国の歯科医院のホームページ使用色ランキング
47都道府県の歯科医院を無作為にピックアップしホームページカラーを集計しました。
矯正歯科、審美歯科等も含む個人医院・クリニックのホームページのみの結果です。
(サイトを開いて一番目についた色(主に背景色)をホームページカラーと判断しています。)
1位 ブルー
2位 グリーン
3位 茶色
4位 ピンク
5位 オレンジ
5位 黄緑
7位 ネイビー
(2024年2月現在)
ブルーとネイビーは大きなくくりでいうと青系なのですが、サイトから受けるイメージが全く異なるので分けて集計しています。水色もその観点から別集計ですがランキング外となりました。
ブルーはさわやかさを感じる青空のような色を指します。やや鮮やかさを感じるブルーです。
ブルー・ネイビー・水色を合わせると、全体の27%にまでのぼります。(ブルーのみでは18%)
意外な色がランクイン
これまで様々な医療系サイトのカラーを分析し、「医療」と言えばブルーとグリーンが不動であり王道カラーだと分かりました。次いでオレンジやピンクが上位にくるのですが、歯科医院に限っては茶色が第3位にランクインしたのが注目点です。
筆者の勝手な考えとして、茶色は虫歯の色を想像しそうなので避けられるのでないかと思っていました。しかし決してそんなネガティブなイメージはなく、茶色のイメージをうまく活かして作られているサイトが多数ありました。
その他ランキング外ではありますが、黒や紫といった医療系ではタブー視されそうな色もいくつか見受けられ、歯科医院のサイトカラーが多岐に渡っていることが分かります。
色とキーワードのマッチング
歯科医院が他の医療分野と大きく違ったのは、色とキーワードのマッチングのうまさです。色のイメージに合った言葉が使われているので、サイトを見ていて違和感がありません。
色とキーワードがマッチしているから、茶色や黒、紫であってもネガティブなイメージにならないのです。
ここで色とキーワードの好例を一部ご紹介します。
■オレンジ
色のイメージ:親しみ、楽しい、社交性、大衆的
使われているキーワード例:「スマイル・笑顔」「気軽」「お子さまが楽しく」
■ピンク
色のイメージ:優しさ、愛情、安心、美しさ
使われているキーワード例:「子どもが笑顔で帰れる」「0歳から親子で通う」「審美歯科、矯正」
■緑・黄緑
色のイメージ:健康、安心、安全、成長
使われているキーワード例:「お口の健康」「すこやかな歯」「安心医療」
■茶色
色のイメージ:信頼、落ち着き、伝統
使われているキーワード例:「妥協のない治療」「最先端技術」
■ネイビー
色のイメージ:信用、誠実、精密
使われているキーワード例:「納得の説明」「最先端設備」
■黒
色のイメージ:高級、カリスマ、かっこいい
使われているキーワード例:「オーダーメイド治療」「自費治療」
■紫
色のイメージ:個性、オリジナル、美意識
使われているキーワード例:「歯周病・インプラント専門」「オーダー義歯」「プライベート空間」
ピンク、水色、黄色などの明るく優しい色は、こどもが通える、家族で通えるという安心感
茶色、ネイビー、黒などの暗い色は、技術や機器の新しさ、高級感や特別感
というように、見事に色のイメージと訴求キーワードが合っていました。
色とキーワードにくわえ写真のマッチングも素晴らしく、明るい色のサイトは院長やスタッフ、患者様の笑顔の写真
暗い色のサイトは最新機器の写真の使用率が高かったです。
オレンジのサイトで院長のネクタイがこどもが大好きなキャラクターの柄だった例もありました。狙ってなのかたまたまなのか、お見事!としか言えません。
配色例の参考
医療系の王道の配色は他の記事をご参考にしていただくことにして、ここでは他ではご紹介していない配色を取り上げてみます。
■ピンク×黄緑の配色
明るいトーンで統一し、ピンクと黄緑両方に共通する色のイメージ「安心感」を前面に出しています。ピンクや黄緑の色のトーンに合わせると、他の色も使いやすくなります。「歯医者さんは怖くない」むしろ「楽しそう」に感じさせる配色です。
ピンクは親子やこどもへの訴求力が高いので、写真もそれに合わせたイメージを使うと良いでしょう。親子以外にも院長・スタッフの優しそうな笑顔写真もおすすめです。
■グリーン×黒の配色
ややトーンが暗めのグリーンと黒を合わせると、高級感を出すことができます。グリーンのイメージは健康や安心を表しますが、トーンが暗くなることで、ほっとするような安心感よりも信頼感を打ち出せます。また、黒と合わせることで価格の高さを受け入れてもらいやすくなります。
写真は人の笑顔よりも院内の高級感や特別感を表すイメージの方が向いているでしょう。患者様とのカウンセリング風景を入れてもよさそうです。
■ネイビー×グレーの配色
ネイビーとグレーを合わせると、スタイリッシュでスマートな印象になります。グリーンと黒の配色と同じく、ネイビーはトーンが暗くなるので、高級感や信頼感を演出するのに向いています。そのため、安心感や親しみやすさはあまり表現できません。「確かな技術に自信があります」そんなイメージ発信ができるでしょう。
写真もグリーンと黒の配色と同様です。先生の真剣な表情を入れれば「きちんと治療をします」という印象を与えることもできます。
まとめ
多くの人が好むさわやかなイメージのブルー、健やかさを感じさせるグリーンは医療系のサイトで外せません。そこに食い込んできたのが、茶色や信頼感を増す暗い色(ダークカラー)。内科や心療内科ではあまり考えられない配色です。
コンビニエンスストアよりも数の多い歯科医院は、個々の特色を打ち出していくことが必須です。それが分かってなのか、きちんとサイトを作りこんでいる医院・クリニックが大多数でした。そのため自作のホームページは非常にクオリティが低く感じられてしまい、とても不利です。凝ったデザインでなくても構いません。独自の特色を表す色のホームページをプロに制作依頼することを強くおすすめします。
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