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ブログ 色彩心理

本当にあった恐い色空間

私たちはいつも色に囲まれて生活しています。

生活環境と色は切っても切り離せません。

とくにパブリックスペースやマンション・アパートの共用スペースは、多数の人が利用する場所であり、使う人や暮らす人にとって安全で快適な空間であってほしいものです。

空間を快適にする要素はさまざまですが、快適性に大きく関わってくるもののひとつが色。

公共性の高い空間は、色の影響力を十分に考えて選ぶ必要があります。

今回この話題を取り上げたのは、SNSである投稿を目にしたのがきっかけでした。

 

誰が見てもありえないと感じるエレベーター

Twitterで画像と共にこんなツイートが流れてきました。

実家のエレベーター…扉が開いてギョッとした

何でこの色!?
前はグレーで暗かったけど変わりすぎじゃない!?

落ち着かないよぉ

 

マンションのエレベーターの内部が写真でアップされていたのですが、床は高彩度の赤、いわゆる真っ赤に、壁はやや穏やかな色みの赤。

奇をてらったのではないでしょう。

色選びにどんな経緯や意図があったかは分かりません。

言えるのは、建築や内装のプロ、カラーのプロが考えたとは思えない空間でした。

画像を色再現したイメージ図

 

写真で見る限りでも血を連想するような真っ赤な床は、鮮やかすぎて落ち着きません。

赤はアドレナリンの分泌を促進し、人を興奮状態にさせる色。

疲れて家に帰ってきた時にこのエレベーターに乗ると、疲れが倍増しそうです。

 

また、赤は心理的に近づいてくるように感じるため、空間(の壁面)で使用すると壁が迫ってくるようで、実際の広さよりも狭く感じてしまいます。

閉所恐怖症の方にとっては、恐怖の色でしかありません。

 

以前のエレベーターはグレーで暗かったとのこと。

なぜこんな色が選ばれたのか。

あくまで推測ですが、空間を明るくするつもりで、鮮やかな色が選ばれたのではないでしょうか。

 

空間の色選定で気をつけたい2つのこと

色彩理論を知らない方が空間の色を選ぶときに気をつけていただきたいことが2点あります。

 

ひとつは、明るさ(明度)と鮮やかさ(彩度)の混同です。

色(白、黒、グレー以外の有彩色)は、「色相・明度・彩度」の属性を持っています。

※色相とは色みのこと

色を表示・伝達するための属性で、明るさと鮮やかさは別ものなのです。

ただ、ひとつの色を見たときに、私たちは色相・明度・彩度を切り離して見ていません。

明るさと鮮やかさは連動しているので、感覚的に別ものと分かりにくいのは確かです。

 

また、人は鮮やかな色ほど明るいと感じてしまう現象があります。

(ヘルムホルツーコールラウシュ効果といいます)

そのため鮮やかな色=明るい色と認識している人が一定数いらっしゃるのです。

 

ちなみに色を数値化して表すと、真っ赤(鮮やかな赤)の明度は、明るくもなく暗くもなく、ちょうど中間あたりの明るさです。

鮮やかな色を明るいと認識してしまうのは仕方ないことですが、空間で鮮やかな色を選ぶときには注意が必要です。

 

もう1点色選びで気をつけたいことは、面積効果です。

面積効果とは、同じ色でも面積が小さい色よりも大きい面積で見たときの色の方が、明るく鮮やかに感じる心理効果のこと。

インテリアや外壁など大きい面積で色を使うなら要注意です。

小さいカラーサンプルでうすいピンクの壁紙だと思って選んだ色が、壁に貼ったらものすごくピンク色に見えてびっくり!

予想以上に色のインパクトを感じる、ということが起こるのです。

施工後に「思った色と違った」というクレームを出さないためにも、面積効果を念頭に置いて色選びをしてください。

 

パブリックスペースの色を個人の好みで選んではいけない理由

パブリックスペースや共用スペースは、多くの人が不快に感じず、滞在しやすいように色を選定する必要があります。

色の感じ方はひとそれぞれですが、個人の経験からくる主観的な色の感じ方と、誰もが共通して感じる色の感じ方があります。

公共性の高い空間は、誰もが共通して感じる色彩心理に配慮して色選定しないといけません。

 

赤が好きで快適と感じる人はいるでしょう。

個人の感覚ですから、正しいも間違いもありません。

ただ、大多数の人にとって、赤は快適さよりも強いエネルギーや気持ちの高ぶりを感じる色。

空間の色選定では、個人の好き・嫌いで色を決めるのではなく、色の心理的効果や生理的な影響を加味して選んでいきましょう。

 

空間は白が無難?

色からさまざまな影響を受けるなら、いっそのこと1番シンプルな白にすればいいじゃないか

そんな声が聞こえてきそうですね。

白は清潔感があり、どんな色とも合わせやすいのは確かです。

真っ白な内装の賃貸物件は、実際よくあります。

 

しかし、白は反射率が高く、眩しく感じる色。

人の気持ちを張り詰めさせ、緊張感を高める色でもあります。

実は白い空間は人に少々のストレスがかかっているのです。

空間に色は本当に良いのか?

検討の余地はあるはずです。

 

適切な色彩設計を

パブリックスペースに最適な色はこれ、という答えはありません。

空間の色は、周辺環境や使用目的・建材などさまざまな条件を考えて決定していきます。

そこにプラスして、配色(カラーコーディネート)理論や色彩学、色彩心理、色彩生理の視点をふまえて空間設計できれば理想です。

決して管理者やオーナーの好みだけで色を選ばず、色の影響力を考えて空間の色彩計画を組んでいただきたいです。

 

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© 2022 カラー戦略アドバイザー 青柳彩子