こころのお悩みをもつ人の相談に乗って解決に導く仕事、心理カウンセラー。
心理カウンセラーとして仕事をしている個人、心理療法や精神療法を行っている組織・企業がホームページをもつ時、どんな色使いが適切でしょうか。
デリケートな分野だけに色使いにも注意が必要です。現在あるホームページの色分析を行い、最適な色を考えていきます。
全国の心理カウンセラー・クリニックのホームページ使用色ランキング
47都道府県の民間クリニックを中心に、心療内科や個人カウンセラーのホームページの色を集計しました。
(そこで働いている人が、公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー等の国家資格や民間資格を有していることを基準としています)
サイトを開いて一番目についた色(主に背景色)をホームページカラーと判断しています。
1位 緑
2位 青
3位 ピンク
4位 青緑
5位 オレンジ
6位 水色
1位の緑は黄緑から鮮やかな緑まで含んでいて、全体の35%を占めました。青緑や抹茶色のサイトもあり、緑系としてすべてを合わせると50%近くにのぼります。
ピンクとオレンジを除けば、全体的に緑系と青系が多い印象です。
緑・青・ピンクが人気の理由
色には固有の意味、メッセージがあります。色の意味を読み解くと、緑・青・ピンクの使用率が高い理由が分かります。
緑は、安心・安全・平和・穏やかを表します。リラックス効果があり、不安や緊張とは真逆の色。緑を使うことで「心理的安全性が確保されています」というメッセージを発信することができ、カウンセリングに訪れる人が安心して心を許せる空間をイメージできます。
また、黄緑は緑と黄色の意味を兼ね備えていて、未来への希望や明るさ、成長を表現することができます。
青は、誠実・信頼・落ち着きを表します。今、ここに気持ちを集中させ、興奮を押さえる効果があります。ここでいう青は濃い青ではなく、海や空の開放感ある青を指します。海の青、空の青は、自由でのびのびとした印象を与え、窮屈なこころを解き放つイメージです。
ピンクは、優しさ・愛・幸福を表します。鮮やかなピンクではなくパステル調のピンクは、気持ちをリラックスさせ安心感を与えます。こころを扱う職業はとくに、ハートをイメージするピンクがすんなりと受け入れられます。また「女性専用」や「女性カウンセラー」をアピールするときにピンクは効果的です。優しく接する・不安を取り除く・安心して相談できる雰囲気を伝えるのにもいいでしょう。
心理カウンセラーのタブーカラー
安心や信頼感、優しいイメージを発信したい心理カウンセラーのサイトでは、恐怖心を煽るような色は絶対にタブーです。
恐怖のイメージといえば黒。暗闇の怖さ、絶望、威圧の意味をもつため、どんなにおしゃれなサイトであっても避けるべき色です。さすがに黒のサイトは調査時にひとつも見当たりませんでした。
赤も威圧感や怖さを感じる色。興奮させる色でもあるので、カウンセリングには不向きです。ここでいう赤は真っ赤を指しますので、赤茶やワインレッドのような赤は、使い方によっては差し色などで取り入れてもいいでしょう。
紫はミステリアスや精神の不安定さを表します。スピリチュアルカウンセリングなら紫も使えますが、病院やクリニックでは避けたい色です。紫が薄くなったラベンダーは、リラックス効果のある色ですのでピンクのようなイメージで使うことが可能です。
※タブーカラーとして挙げた色のイメージは、ネガティブな側面だけを取り上げています。黒・赤・紫にもポジティブな意味があり、業界や対象が変わればタブーカラーがおすすめカラーになります。ホームページで使ってはいけないという意味ではありません。
おすすめ配色例
人気カラートップ3の緑・青・ピンクを基調としたサイトの配色例を6パターンご紹介します。
緑が基調の2パターン
■王道のオレンジとの組み合わせ
医療・福祉・健康分野に多いのが、緑とオレンジの配色です。明るく元気なイメージを与え、配色としての美しさ、読みやすさも兼ね備えています。ただし、どこにでもありそうなサイトになる可能性は高いです。
■反対色で互いの色を引き立てつつ個性を出す
色相環を使って配色を考えると、緑の反対(補色)になるのが紫です。補色配色は互いの色を引き立てあい、メリハリのある配色調和を生み出します。
紫といってもタブーカラーで挙げたように濃い色は意味深なイメージを与えてしまいます。優しいラベンダーが適度な個性をだしつつ緑とマッチします。
青が基調の2パターン
■ピンクで温もりをプラス
明るい青には信頼感と開放感のイメージがあるものの、ややクールな印象になります。そこに暖色のピンクをプラスすることで、人の温もりや優しさを表現することができます。パステルピンクは寄り添って話を聴いてくれそうな雰囲気がでますね。
■反対色のベージュで穏やかな配色コントラスト
青の反対色(補色)がオレンジ。オレンジ・茶色・ベージュは同系色なので、青とベージュの組み合わせは補色配色の関係になります。ベージュが柔らかいトーンなので、反対色といってもコントラストは強くありません。穏やかなメリハリがついた配色調和になります。
ピンクが基調の2パターン
■同系色濃淡は失敗のない配色
薄いピンクに濃いピンク、同じ色の組み合わせの濃淡配色は失敗がありません。ピンクに限らず、ミントグリーンに抹茶色、水色に青という組み合わせも同じです。配色のメリハリをつけつつ、統一感のある調和が生まれます。
ピンクの濃淡配色は女性らしさと甘いイメージが強いので、メインターゲットが女性・こどもの場合に一番適しています。
■きれいに映えるピンクと青緑
ピンクと青緑は反対色(補色)の関係です。互いの色を引き立てあい、文字の読みやすさ・図形の理解しやすさがアップします。明るい青緑は爽やかな印象で、優しいピンクのイメージを崩さずに適度なコントラストを生み出しています。
調査した中でも、ピンク背景に青緑の差し色、青緑の背景にピンクの差し色の組み合わせはよくあるパターンのひとつでした。
まとめ
心理カウンセラー・心療内科・クリニックのホームページは、心理的安全性と心に寄り添うイメージを色でも表現することが大切です。貴重となるメインカラーによってイメージは大きく変わりますので、まず一番打ち出したいことは何なのかきちんと言語化することが大切です。「安心」か「信頼」か「優しさ」か、どれが一番大切か考えるとおのずと必要な色が決まってきます。
恐怖心をかき立てる色や、ごちゃごちゃとした印象になる多色配色は避けた方がよく、不安や迷いを感じさせない色設計が必要です。この業界はこんなイメージだろうと感覚で色を選ばず、きちんとしたコンセプトありきで色選びをしましょう。